Saturday, January 4, 2020

2060年、日本の1人当たりGDPは中印に勝てるか - 東洋経済オンライン

未来の世界経済の中心は、欧米から中印へ

世界経済の未来を予測します(写真:gerenme/iStock)

昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第5回は、前回「2065年、日本の人口ピラミッドはどうなるか」(2019年12月22日配信)に続いて、世界の未来の姿を大胆に予測する。

今後、20年から40年の期間に、中国の経済成長率は鈍化するものの、アメリカを抜いて世界一の経済大国になるでしょう。インドは高い成長率を続け、日本を抜いて、アメリカと拮抗する経済規模になります。

経済規模や豊かさは、現在とはどのように変化するでしょうか?

これには、まず、人口動向が大きな影響を与えます。

前回述べたように、若年者人口の増加率が高ければ労働力の増加率が高くなるので、経済成長率が高くなります。逆であれば逆になります。

ヨーロッパや日本では、若年者人口の増加率が低い(あるいはマイナスになる)ので、経済成長率は低くなるでしょう。中国も経済成長率が低下するでしょう。

それに対して、インドでは、若年者人口の増加率が高いので、経済成長率が高くなると予測されます。

経済動向に影響するのは、人口だけではありません。

それとともに、国民の教育水準や技術進歩などが大きな影響を与えます。

アフリカ諸国は、若年者は増えても、経済発展につながるかどうか、わかりません。かえって貧困化が進行することも考えられます。

このようにさまざまな要因が絡み合っているので、経済の予測は容易なことではありません。

以下では、 OECD(経済協力開発機構)が行っている長期経済予測を参考として、2060年までの世界経済を考えることとします。

(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

日本の比重は低下し、インドの比重が上昇

図表1に示すとおり、世界の実質GDPは、2020年から2040年の間に1.72倍になり、2020年から2060年の間には2.62倍になります。

年平均成長率で見ると、2020年から2040年の間では2.74%、2020年から2060年の間では2.44%になります。

OECD諸国とそれ以外の国を比べると、いずれの期間においても、OECD諸国の成長率が、それ以外の国より低くなっています。

そして、ユーロ諸国の成長率は、OECD諸国よりもさらに低くなっています。

このように、高所得国の成長率が比較的低いため、世界経済の中での比重は低下することになります。

国別の状況は、図表1の下半分に示すとおりです。

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