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(写真:新華社/アフロ)
中国人民銀行(中銀)は3日、公開市場操作(オペ)で銀行など金融市場に1兆2000億元(約18兆6000億円)を供給した。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が経済に与える影響を緩和する狙いがある。人民銀によれば今回の措置で、資金供給量は昨年同期と比べて9000億元増える。銀行が貸し出せる資金量を増やすことで目先業績が悪化した企業への貸し渋りや貸しはがしを防ぐ狙いがあるが、慢性化すると金利低下やインフレ懸念などのリスクも出てくる。
中国人民銀行は1日「各銀行が新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などから融資を引き揚げるべきでない」との声明を出していた。中国には、銀行が貸し出しリスクの低い国有企業に優先的に融資し、民営企業にお金が回らない構造が根深くある。昨年ごろから地方政府当局などが銀行に対して細かく融資先を精査して、中小向け融資を拡大しているかをチェックする動きがあった。そこに降って湧いた新型肺炎の流行という事態に、中国当局は金融収縮を食い止めようと躍起だ。
3日の中国・上海株式相場は大幅に下落した。同市場では株式の空売り制限がかけられたとの一部報道があるが、それでも上海総合指数の終値は前営業日の1月23日に比べ7.7%安となった。
中国政府はリーマン・ショックの際に4兆元の経済対策を発動して「世界経済の救世主」ともてはやされたが、一方で副作用として肥大化した債務と過剰生産能力を抱えることになり、今も解消できずに苦しんでいる。今回の動きも、金融市場の目詰まりを防ぎ企業の破綻の連鎖を起こさせないという力強いメッセージだが、こうしたてこ入れを強力に進めれば進めるほど、苦心して整理を進めてきた「リーマン・ショックの副作用」を再び膨張させることになる。
それでも手を打たなければ、という危機感の表れだろう。
中国政府によると2019年の実質GDP成長率は6.1%で、「6.0~6.5%」という政府目標はなんとか達成した。今年は「6.0%前後」に設定するとみられていた。みずほ銀行(中国)の細川美穂子主任研究員は、「新型肺炎による消費落ち込みやサプライチェーンへの影響などで、1~3月の実質GDP成長率は5%前後に落ち込む可能性がある」と指摘する。
新型肺炎対策における初期情報公開の失敗で、国民の不満は高まっている。新型肺炎流行を食い止めるため指導力を見せつけるため、「人の移動の制限」という強硬手段を取っている面もありそうだが、当然のことながら経済への悪影響として跳ね返る。
中国共産党機関紙の人民日報は「我々は(新型肺炎の)流行との戦いに勝つために十分な能力と自信を持っている。また、流行の影響を最小限に抑えることもできると確信している。流行拡大をできるだけ早く抑え、できるだけ早く生産と生活を再開することに集中することが不可欠だ」との記事を掲載した。
武漢市をはじめとする湖北省一帯に加え、2日には遠く離れた華東地域の温州市でも外出禁止を伴う事実上の封鎖が発表された。習近平指導部は感染者数が増えればちゅうちょなく都市封鎖に踏み切る方針を改めて明確にしている。企業にとっては事業継続性の判断を含め神経をすり減らす日々が続きそうだ。
新型肺炎による経済的な混乱はまだ始まったばかりだ。北京市、上海市、広州市、深セン市の4つの一線都市はすべて10日午前0時まで一般企業の業務再開を禁止しており、中国経済が本格始動するのはこれからと言える。中国が現在世界に占めるGDPシェアは約16%。2003年ごろに流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の時の4%強とは比べものにならず、今後の感染対策の巧拙は世界経済を大きく揺るがすことになる。
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