Saturday, May 2, 2020

ワールド経済ウオッチ>中国 感染避けネット商談に熱 実物展示会からシフト:経済(TOKYO Web) - 東京新聞

スマホの動画投稿サイトを通じてハンドクリームを売る商店主=白山泉撮影

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、ビジネスマン同士が集まって商品を見定めながら商談をすることが難しくなっている。こうした中、中国の流通業界では、短編動画投稿サイトを通じた商品紹介が活況を呈している。VR(仮想現実)技術などを利用したインターネット上の大型展示会も近く開催され、中国でネット商談が定着しつつある。 (上海・白山泉)

■チャットで交渉

 「このハンドクリームを塗るとほらっ、手がこんなにてかてかになる」

 日用品を扱う店の店主が商品の品質をアピールするのは、スマートフォンの短編動画投稿アプリの中だ。動画の中継を通じて買い付けようとするバイヤーら視聴者は約二千人。画面上のチャット機能を通じて寄せられる質問に店主が回答。「私に直接連絡をくれれば値段交渉するよ」と連絡先を公開し、商談の入り口にしている。

 浙江省義烏市にある「中国義烏国際商貿城」は、世界最大の日用品の卸売市場だ。六百四十万平方メートルの市場に七万以上のブースがひしめき、国内外に商品を出荷している。だが新型コロナウイルスの感染拡大で多くのバイヤーは買い付けに来られず、ネットを通じた販売に軸足を移す店舗が増えてきた。

 アクセサリー用の石を販売している孫霊娟さん(35)は「実際に店舗を訪れる人は減ったが、ネットで生中継をする準備が忙しい」。ネットでの買い付けが増えたことで、売り上げは横ばいをキープ。新たに動画の中継を始めた商店主向けに、効果的な商品の売り込み方を教える講座なども出てきており、「ネット上での競争が激しくなってきた」とも話す。

■VRで出展

 「感染の第二波」への不安が残り、中国への入国制限は今も厳しい。このため、中国の商品を海外のバイヤーに売り込む国内最大の見本市「広州交易会」は、展示場での開催を断念。六月中旬にオンラインで開くことを決めた。

 中国経済紙によると、中国IT大手のテンセントが技術協力し、主催者は商談のためのテレビ会議や翻訳機能などを提供。企業は画像やVRを使ってネット上に商品を出展する計画だ。

■商機逃さない

 上海市のあるメーカーの社長は「バイヤーは新しいモノを仕入れるときは、見て触って買うことが多い。これをネットでどう補完するかが課題」と話す。「実際の展示会と異なり、いちいちクリックして見るのも面倒」と話すが、これらの課題が解決されれば「オンライン商談は間違いなく加速する」と予想する。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)も中国のネット商談の広がりに注目する。ジェトロ上海事務所の小栗道明所長は「中国の巨大な消費市場で商機を逃すわけにはいかない」と強調。ネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」に出店する店舗オーナーと、日本国内のメーカーを結び付ける「ウェブ商談」に向けた準備を進めている。

 日本企業は中国への出張ができない状態が続いているが、小栗所長は「人が行き来できない状態が普通と考えて次の手を打ちたい」と話す。

商品の効果的な売り込み方をアドバイスする講座も出てきた=中国の動画投稿サイトから

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