産油国イラクが財政危機に直面している。原油安に新型コロナウイルスが重なり、今年の財政赤字は国内総生産(GDP)の2割超との予測がある。カディミ政権が発足して7日で3カ月だが、市民は経済問題で不満を募らせる。イラクが不安定になれば、中東の火種が増しかねない。
7月27日、首都バグダッドで政府に抗議する市民が治安部隊と衝突し、デモ参加者2人が死亡した。昨年11月に当時のアブドルマハディ首相を辞意表明に追い込んだ反政府デモが、再燃する懸念がある。
今回の抗議運動は真夏の停電が引き金とされ、カディミ首相は「過去の失政と腐敗による問題の解決を探る」と応えた。貧弱なインフラ、経済不振、雇用不安は積年の課題だ。今年は歳入の9割を占める石油収入が回復しそうにない点で深刻だ。
国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル40ドル台と年初より3割安い。4月には20ドルを割り込んだ。英オックスフォードエネルギー研究所によると、イラクの石油輸出収入は1月の61億ドル(約6400億円)から4月は14億ドルに急減した。
新型コロナの感染拡大が追い打ちを掛ける。感染者数は累計13万人を超え、政府は7月末からのイスラム教の祝日期間中の外出禁止令を出した。経済活動を一段と鈍らすことは確実だ。
国際通貨基金(IMF)はイラクの2020年のGDP成長率をマイナス4.7%、財政赤字はGDPの22%と中東産油国で最悪を予測する。世界銀行は5月、新型コロナ対策でイラクに資金支援したが「財政規律と経済多角化が決定的に重要だ」とクギを刺した。
イラクでは財源不足から公務員給与の支払いの遅れが報じられた。国への帰属意識が薄れ「イスラム国」(IS)など過激派組織が金銭の力で影響を増しかねない。
財政難で、石油輸出国機構(OPEC)の協調減産を「抜け駆け」し原油を多く輸出する誘惑に駆られるとの見方もある。イラクはOPEC第2の産油国だが5月は約束通りに減産せず、市場参加者が生産調整の効果を疑う要因になった。
外交のかじ取りも難しさを増す。カディミ氏が7月21日、就任後初の外遊で訪れたイランで会談した最高指導者ハメネイ師は、イラクが駐留米軍を追放することに期待すると述べた。カディミ氏は会談前に「内政不干渉の原則に基づいた2国間関係を望む」として、温度差をにじませた。
イラクにはIS対策で米軍の力がなお必要だ。隣国イランとの友好は損ねたくないが、米イランの対立からは距離を置きたい苦しさが垣間見える。さじ加減を誤れば、カディミ氏の政権運営に逆風が強まる可能性がある。
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August 05, 2020 at 03:53PM
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新型コロナ:イラク財政危機、反政府デモ再燃の懸念 新政権3カ月 - 日本経済新聞
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