Saturday, August 1, 2020

財政試算悪化 現実的な再建の道筋を示せ - 読売新聞

 新型コロナウイルスの流行が、日本の財政を一段と揺さぶっている。政府は楽観的な見通しを排し、財政再建に向けた道筋を描き直すべきだ。

 内閣府が、中長期の新たな財政試算をまとめた。国と地方の基礎的財政収支(PB)は、黒字化を目指す2025年度時点で7・3兆円の赤字だ。額は1月の前回試算から2倍に増えた。

 黒字化の年次はさらに遅れ、29年度になるという。

 PBは、国債などの借金に頼らず、政策経費をどれだけ賄えているかを示す指標だ。政府は25年度の黒字化目標を変えないとしているが、実現は困難ではないか。

 大きな要因は、巨額の経済対策を実施したことだ。20年度の国の歳出は160兆円を超え、新規国債発行額は約90兆円に達した。

 国民生活を守るための緊急措置として歳出を拡大することは、理解できる。企業や個人への資金支援のほか、医療提供体制の強化、豪雨被害対策などは急務であり、支出を惜しんではならない。

 問題なのは、経済や財政に関する政府の見通しの甘さである。

 今回の試算は、国内総生産(GDP)が20年度から21年度にかけて「V字回復」すると想定した。家計の実感に近い名目成長率は21年度以降3%を上回り、税収が大きく伸びると見込んだ。

 国内外で感染拡大は止まっておらず、現実的とはいえまい。

 経済の地力を示す日本の潜在成長率は1%弱のままだ。アベノミクスに支えられた景気拡大は、18年10月までの71か月で終わり、戦後最長を更新できなかった。

 安倍内閣が掲げる「経済再生なくして財政健全化なし」との方針自体は間違ってはいない。大事なのは、現実的な予測に基づき、財政再建のために何が必要で、何をなすべきかを政府が国民に提示していくことである。

 まずは感染抑止と経済活動の両立に全力を尽くしたい。その上で、歳出改革を進めねばならない。

 21年度予算編成では、各省庁からの予算要求が事実上青天井になり、歳出の膨張が懸念される。使い道を精査し、事業の重点化に努めてもらいたい。

 急増する社会保障費の抑制が不可欠だ。医療費の窓口負担の増加など、高齢者に痛みを伴う改革への理解を求める必要がある。

 無論、財政の立て直しには経済成長も重要となる。他国と比べて遅れているデジタル化を強力に後押しし、潜在成長率の底上げにつなげることが大切だ。

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