脱炭素シフトは、成長に対してプラスとマイナスの両面で様々な影響を与えることから、マクロ経済的な観点での総合判断が求められる(写真はイメージです) Photo:PIXTA
脱炭素に対する楽観と悲観
求められるマクロ経済の視点
各国は、脱炭素と経済成長の両立を目指す方向で各種戦略や長期計画を打ち出している。我が国でも昨年10月に「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、12月にはグリーン成長戦略が打ち出された。
脱炭素を成長の起爆剤と位置付ける楽観論の多くは、巨額の設備投資自体がGDPを押し上げると主張する。加えて、投資がもたらす生産性の向上やイノベーションも成長力を高めるという技術面でも楽観的であるという特徴がある。
一方で、脱炭素は成長を犠牲にするとの悲観論も根強い。これまで地球環境を無尽蔵と考え。無料で濫用してきた人類は今後、利用に際してコストを負担することになる。悲観論者は、化石燃料を中心にエネルギー価格の大幅上昇が不可避で、石油ショックのような負の供給ショックが長期間続くと警告する。
脱炭素シフトは、成長に対してプラスとマイナスの両面で様々な影響を与えることから、マクロ経済的な観点での総合判断が求められる。残念ながら、これまでの各国のグリーン成長戦略の殆どは、産業別に投資や技術革新がどれだけ必要であるかといったミクロの視点に止まっている。
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