Monday, August 3, 2020

【財政の健全化】現実を直視した改革を - 高知新聞

 コロナ禍を機に厳しい現実を直視し、財政健全化に向けた道筋を根本から見直す必要がある。
 政府が新たな中長期の経済財政試算をまとめた。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い税収が伸び悩むため、重要指標の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は、政府が黒字化を目指す2025年度に7兆3千億円程度の赤字が残るとした。
 コロナ禍が深刻化する前の1月の前回試算と比べて赤字が倍増した。PBの黒字化は29年度にずれ込み、政府目標から4年遅れる。黒字化は財政再建の第一歩であり、健全化目標の達成が一段と遠のいた。
 しかも、前提となる経済見通しは相変わらず楽観的だ。
 国内総生産(GDP)の成長率は、生産性向上など7月にまとめた骨太方針を着実に実行することで高成長が続くケースを想定。実質2%、名目で3%程度を上回るとした。第2次安倍政権下の実質成長率は年平均1%程度で推移しており、大きな隔たりがある。
 成長率が現状と同水準で推移すると想定したケースでは、25年度のPBの赤字は12兆6千億円程度に膨らむとした。29年度までの黒字化は見通せず、財政の危機的状況がさらに深刻化する。
 見通しの甘い中長期試算では、政策判断を誤りかねないという指摘もある。日本はGDPに占める債務残高が主要国で最悪の状況にある。財政再建に対する政府の本気度も問われるのではないか。
 政府はコロナ対策で2度の補正予算を編成した。20年度の歳出は総額160兆円を超える。
 打撃を受けた企業や家計に対する支援が不可欠なことは言うまでもない。ただ、財源は国の借金の国債に頼っており、将来世代につけを回すことに変わりはない。 
 黒字化の目標について政府はかつて国際公約だった20年度を断念し、25年度に先送りしている。
 西村康稔経済再生担当相は今回、歳出改革を進めることで「25年度の黒字化目標を引き続き堅持して、目指していきたい」と強調した。
 とはいえ感染再拡大が続けば、追加対策が必要になる可能性もある。目標が再度先送りになるようなことがあれば、歳出の抑えがきかなくなることも危惧される。
 黒字化目標の25年度は、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となる時期と重なる。医療や介護といった社会保障費はさらに膨らむ恐れがあり、持続可能な社会保障制度への懸念は根強い。コロナ対応の巨額財政支出が加わり、先行きへの懸念は一層強まったといえる。
 政権が強調する歳出改革の具体像とは何なのか。必要なのは成長戦略に託す楽観論ではなく、厳しい現実を踏まえた改革の道筋を描き、説明することだろう。
 コロナ対応は不可欠だが国民の将来負担を無視してはならない。政府は財政不安の除去に努めるべきだ。

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