外務省は3日付で国際法局に経済紛争処理課を新設した。世界貿易機関(WTO)の訴訟や経済連携協定・投資協定に基づく紛争への対応を強化するのが目的で、経済局にあった国際経済紛争処理室を課に格上げし、国際法局に移管した。農林水産省や経済産業省など、紛争案件ごとの主管官庁との連携を強化する狙いもある。
新設の契機は、韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止措置をめぐる昨年4月のWTO上級委員会の報告書だった。上級委は、輸入規制措置をWTO協定違反としていたパネル(第1審)の判断を「法的分析が不十分」として取り消した。日本にとって予期せぬ事実上の「逆転敗訴」で、今後生じうる経済紛争をめぐり、法律面での対応を強化する必要性に迫られた。
外務省によると、7月末時点で日本が当事国になっているWTOの訴訟は、韓国が最近提訴した半導体材料などの輸出管理厳格化措置をはじめ約40件に上る。一方、政府は昨年2月に発効した欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)など、近年多国間・二国間のEPAを拡大させているが、それに伴い紛争が生じるリスクも増えている。
こうした状況を踏まえ、外務省は「国際法に関する経済紛争解決の処理に精通した人材を集約して対応」(茂木敏充外相)することとした。組織改編を機に、農水省や経産省、国土交通省といった各官庁との連携のあり方も見直し、従来は曖昧だった役割・責任の分担の明確化も図る。
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August 03, 2020 at 04:51PM
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外務省、経済紛争処理課を新設 WTO「敗訴」契機 - SankeiBiz
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